相続・事業承継に役立つ生命保険活用術
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宅取得資金に一部を援助したくなるかもしれません。可愛い孫へ教育資金を贈与したいかもしれません。しかしながら、優先順位は間違いなく自らの老後生活にあると考えます。当然ですが、入ってくる資金よりも出ていく資金の方が多ければ、資金残高は減少します。お伝えしたいのは、通常の生活をしていれば、資金は減少するということです。相続財産は減少し500万円と試算した相続税は減少していくのです。年金以外の収入(例えば、有価証券売買・配当金等、不動産収入など)がある方は、日常生活で使用しても減らない可能性もありますが、その場合でも手元資金を減らしたくない、という気持ちがあるのも事実と考えます。(3)相続(遺産分割)>相続税という確信例えば、相続人が長男・長女の2人である父(老人ホーム居住:持ち家なし)が、消費税増税の影響により枠が一時的に拡大した住宅取得等資金贈与を「長女に伝えることなく」長男のみに実行した場合を考えてみましょう。長女は嫁に出た身であり、婿の所有する都内の分譲マンションに居住しているため住宅取得は不要であると判断した。そして父は転勤族であった長男が分譲マンション購入を検討していることを聞いたため、3,000万円の資金を贈与した(特例要件を満たす前提)。贈与後における父の財産は金融資産が3,000万円である。その半年後、父は遺言を作成する間もなく急逝してしまった場合、あなたが長女(もしくは長女の夫)の立場の場合には、どのような主張をするでしょうか。「長男(兄)への贈与のおかげで節税できた。ありがとう。」と長男(兄)に言えるでしょうか。通常であれば、その発言は不可能ではないでしょうか。つまり、長女(もしくは長女の夫)の立場であれば、長男が受贈した資金3,000万円は相続財産を先に取得しただけであり、遺産分割の場面においては当該受贈分を戻し6,000万円にしてから遺産分割を行うと考えます。この場合、長男は既に3,0004

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