「配当還元方式」徹底活用ガイド
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 支配権を有する株主の相続対策でも、原則的評価方式による株価引下げ対策だけにとらわれず、配当還元方式を上手に組み合わせて事業承継対策を実行すれば、自社株の相続税評価額の総額が軽減されることから、配当還元方式による相続対策は、支配権を有する同族株主の事業承継者にとっても重要な選択肢と考えられます。 そこで、配当還元方式によって自社株を贈与、相続又は遺贈することができる者は誰かを確認し、かつ、自社株の相続税評価額は議決権によって原則的評価方式又は配当還元方式のいずれによるかを判定することになるため、どのように議決権をコントロールすれば良いかなどが配当還元方式を選択する場合のポイントになります。 本書では事業承継対策に活かす配当還元方式の徹底活用について、実務に即した内容を厳選して設例などを設けて分かりやすく解説することとします。 第1章の自社株の相続税評価額の確認では、原則的評価方式と配当還元方式の評価方法や、誰にどのように譲渡、贈与・相続又は遺贈すれば配当還元方式によることができるかなどについて、第2章では、自社株の移転対策について、誰に移転するかによって株価が異なることから、自社株の移転先を個人・法人別に区分して簡潔に解説し、譲渡する者の譲渡後の議決権の確保の方法についても解説してあります。 第3章では、配当還元方式による自社株対策について、設例を用いて分かりやすく解説してあります。また、第4章では、家族に分散された自社株について、一般社団法人等による自社株の受皿対策を具体的に解説してあります。 また、参考資料として配当還元方式にかかる紛争事例について、主な裁決事例や裁判例を紹介してあります。 本書が自社株対策に悩む経営者や後継者にとって一助となれば幸いです。 なお、設例などの数値は、解説の内容を理解しやすいように、金額の単位は、原則として万円とし、計算においては万円未満の金額は原則として四捨五入して表示していますので、一定の誤差が生じることについてご了承ください。 また、文中意見にわたる部分は私見ですので、念のため申し添えます。 令和6年5月税理士 山本 和義

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