遺産整理業務 実践ガイド
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78(出典:大阪市HP「登記申請時には課税明細書がご利用いただけます」)② 不動産契約書(賃貸借・使用貸借) 不動産の賃貸借契約書や使用貸借契約書が見つかった場合には、被相続人やその先代が貸主となっていれば、相続財産に不動産が含まれていることが想定されるため、その情報を基に対象不動産の調査を行いましょう。 次に、賃貸借契約の借主の場合であれば、不動産の賃借権(借地権・借家権)が相続財産に含まれていることが想定されるため、権利の対象となる不動産の調査を行いましょう。ただし、公営住宅に関しては、最一小判平2・10・18で「入居者が死亡した場合には、その相続人が公営住宅を使用する権利を当然に承継すると解する余地はないというべきである。」との判例があり、相続の対象とならないとされています。 なお、使用貸借契約の借主の場合は、民法597条3項において「使用貸借は、借主の死亡によって終了する。」と規定されているため、相続の対象となる権利は原則としてありません。③ 権利証(登記済証・登記識別情報通知) 権利証とは、不動産の所有権に関する登記が完了した際に、登記名義人に対して法務局が発行する書類をいいます。現在発行される書類は「登記識別情報通知」ですが、平成17年の不動産登記法の改正前に登記がされたものは「登記済証」という書類が発行されています。権利証から所在地の確認ができるため、その情報を基に調査を行いましょう。 なお、不動産の権利証が見つかった場合に調査の対象とするのは、被相続人名義だけでなく、被相続人の先代以前の名義の分も含めておきましょう。先代以前の名義に関しては、名義変更が行われていないだけで相続財産に含まれる可能性があるため、遺産分割の状況等も含めて確認が必要となります。 また、権利証とともに、次に説明する売買契約書などの関連する書類をまとめて保管されているケースがよくありますので、確認しておきましょう。

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