相続税法では、相続等により取得した財産の価額は「当該財産の取得の時における時価(客観的な交換価値)」による(相法22)ものとされており(時価主義)、その評価方法は財産評価基本通達によって定められています(評基通1(2))。 マンションについては、「相続税評価額」と「市場売買価格(時価)」とが大きく乖離しているケースも確認されていて、相続税の申告後に、国税当局から、路線価等に基づく相続税評価額ではなく鑑定評価額等による時価で評価し直して課税処分をされるというケースも発生しています。 実際の取引価格と相続税評価額の乖離の状況は、国税庁のサンプル調査によると、マンションの相続税評価額と市場価格の乖離率は2.34倍、一戸建ての乖離率は1.66倍(平成30年時点)とされています。令和4年4月19日の最高裁判決では、不動産の取引価額と相続税評価額の差に着目した節税スキームが否認されました。 令和5年度税制改正大綱において「相続税におけるマンションの評価方法については、相続税法の時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ、適正化を検討する。」と記載されました。そこで、居住用の区分所有財産の相続税評価額について、市場価格との乖離の実態を踏まえた上で適正化を検討するため、令和5年1月に有識者会議を設置し、有識者からの意見を踏まえ、国税庁において通達案を作成はじめに
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