けた相続税申告書を税務署に提出してしまうリスクを抱えているのが実際のところではないでしょうか。個々の事例及び解説をご覧いただくと、税理士先生によって見解が異なる記載部分があるかもしれませんが、本書の執筆意図は、「相続税に関する具体的な節税テクニックや各種規定の解説」ではなく、その申告方針は、被相続人を取り巻く環境に照らして相応しいものですか?といった「気づき(疑問点)」を税理士先生及び事務所スタッフの方に認識していただくことであり、一歩踏み込んだ記載をしていることをご了解いただければと存じます。その分、可能な限り具体的な事例を基にしながら、様々な関連資料の中から上記の「気づき(疑問点)」を認識していただくことをねらいとして編集しています。また、各節ごとに、その分野に関連して以下の項目を設けています。❶ 税理士法人チェスターがこれまでの経験から蓄積したチェックリスト❷ 相続税申告に携わる税理士が知っておきたい裁判例・裁決事例❸ 相続税申告の審査担当者が保持しておきたいマインドを著したコラム本書は、各節のアプロ―チとして「スタッフの方が起案された相続税申告書の草案を所長先生や直属の上司の方がチェックする」という場面を想定して執筆しています。しかし、相続税申告書の草案をチェックする立場の方のみならず、スタッフの方にもあらかじめ本書の内容を確認していただくことにより、お客様や各種機関から効率的に資料を入手し効果的なヒアリングをすることができるでしょうし、チェックする立場の方の貴重な業務時間の節約にも資するものと考えています。そして、この「審査」の視点は、相続税に限らず他の税目の申告書草案のチェックにおいても活かしていただけるものと存じます。税理士の成果物である「税務申告書」を税務署に提出するに当たり、どのような視点をもって最終的に確認することが求められるのか、税理士法人チェスターがその命題を相続税申告書において体現したものを税理士業界にリリースいたします。なお、本書は税理士法人チェスターと、同法人にて審査部部長を務めていた大橋誠一税理士の共同執筆によるものです。令和2年11月税理士法人チェスター公認会計士・税理士 大橋 誠一
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