相続税申告書 最終チェックの視点
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154第3章 小規模宅地等の特例❸ 隠ぺいの認定のハードルを上げることができる。特に、相続税は主人公である被相続人が死亡しており、相続人であっても財産調査に限界があるという宿命がありますが、税理士の責任が担保される添付書面に「ここまで財産調査ができたが、この事項については判明しなかった」と記載することで、「単純過少申告(無申告)」か「重加算税の課税要件を充足する」かの税務署側の判断のハードルを上げることにつながります。記載上の留意点としては、大要下記のような事項が考えられます。❶ 調査官が疑問を持つと想定される項目とそれ以外の項目をメリハリを効かせて記載する。具体的には、下記のような内容を重点的に厚く記載するのが良いと思われます。• 名義預金の計上額の推算基礎• 被相続人の金融資産が相対的に少ないと思われる場合のその背景事情• 「利用価値が著しく低下している宅地」に該当すると判断した事実関係• 庭園設備など金額的ボリュームが大きい動産の評価方針❷ 税理士事務所の関与の深度がアピールできる財産調査の内容を記載する。具体的には、下記のような内容を記載することで、表面的な関与ではないことを調査官に理解させるとともに、実地調査に移行した際の「(税務署にとっての)費用対効果が薄い」事案であることをアピールできるものと思われます。• 被相続人が貸金庫を保有している場合のその具体的な中身• 市街化調整区域内に所在する宅地を「地積規模の大きな宅地」に該当すると判断した場合の市区町村の都市計画を所管する部署に対する具体的調査内容• 被相続人預金異動の消息を追跡した時系列表の解説❸ 「事実」を中心に記載すべきで「評価」のみ記載しても意味がない。添付書面は関与税理士の所見を記載するものですが、例えば、「この納税者は誠実だ」といったにわかに疎明できないことを記載しても、調査官としては得るものがありませんので、記載するのであれば、そのように「評価」したことの根拠事実を記載するようにしましょう。チェスターの審査担当者は、添付書面の記載項目・記載ぶりについても審査しており、その基礎となる相続税申告書の信頼性を向上させていることが、税務調査率の低減に寄与していると考えています。

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