相続税申告書 最終チェックの視点
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153第2節 貸付事業用宅地等の適用要件添付書面に何を書くべきか書面添付制度とは、税理士法33条の2に規定する書面添付制度と同法35条に規定する意見聴取制度を総称したもので、平成13年の税理士法改正において税務調査の事前通知前の意見聴取制度が創設されたことにより、その存在意義がクローズアップされました。意見聴取制度では、税務代理権限証書と添付書面が申告書に添付されている場合、税務署は、税務調査の通知前に、税務代理権限証書を提出している税理士に対して、添付書面に記載された事項に関する意見を述べる機会を与えなければなりません。また、意見聴取を行った結果、調査の必要性がないと認められた場合に、税理士等に対し現時点では調査に移行しない旨を原則として書面により通知する旨の国税庁事務運営指針の整備によって、調査省略の可能性も期待できるようになりました。チェスターは、ほとんど全ての事案で書面添付を行っていますが、書面添付をされる税理士事務所とそうでない事務所は明確に分かれる印象にあります。書面添付をされない事務所の税理士からは、「書面添付できるほど深い関与ではない」「書面添付することで結果として税理士の責任が加重されるのではないか」「検討及び記載に工数を要し採算が確保できない」といった声を聞きます。確かに、所得税の確定申告書の1枚1枚に書面添付をするのは難しいという意見もありますが、少なくとも、チェスターの事業領域である相続税に関しては書面添付をした方が良いと考えて、積極的に取り組んでいます。❶ 関与した税理士事務所の検討の深度がアピールできる。複雑な事案については適宜説明のための書面を添付されているケースがあると思いますが、本来は添付書面に記載すべきですし、税務署が意見聴取や実地調査の対象事案を選定するに当たって、事前に「把握した事実関係」「考えられる法令解釈」「当てはめた結果の結論」を伝達できることで調査官の疑問が解け、調査対象からの除外が期待できるとともに、関与した税理士事務所に対する信頼性も向上します。❷ 意見聴取の際に調査官の関心や経験を事前に把握することができる。仮に、実地調査に移行するにしても、調査官の関心事・経歴を事前に把握できることは有効であり、調査の主眼を推察の上で事前に対応を考えることができます。審査担当者コラム

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