64第2章 土地の財産評価なお、法形式は使用貸借であっても、法人が関係する場合は税務上借地権の認定課税が認識されることから、評価単位についても借地権と判断され、A土地とB土地を一体で評価すべき(面積按分してA土地は自用地、B土地は借地権として評価すべき)ではないかとも考えられます。しかし、B土地の自用地評価額を被相続人の「貸宅地」と法人の「借地権」に分離する考え方は、借地権の認定課税という法人税の取扱いとの整合によるものであって、相続税の評価単位の判定としては、使用貸借の本来の特性から導くことが妥当と考えられます。2審査担当者の着眼点「土地賃貸借契約書」の書面があれば、借地権の存在を直接的に把握することができるのが通常ですが、同族関係者間では契約書が作成されていないケース(作成されたものの紛失しているケース、地代の改定につき変更契約書が作成されていないケース)が容易に想定されます。契約書によって相続開始時点の契約内容が確認できない場合は当然ながら、契約内容が確認できる場合であっても、❶ 法人税申告書添付の勘定科目内訳明細書の「地代家賃等の内訳書」❷ 青色申告決算書の「不動産所得の収入の内訳」・「地代家賃の内訳」といった税務申告情報をできる限り過去年分から入手するとともに、❸ 土地及びその上に存する建物の形状を把握することによって、• 他人による土地の占有の有無及びその範囲• 地代の設定状況及びその改定状況の確度を高め、借地権の評価方針を決定する必要があります。
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