相続税申告書 最終チェックの視点
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62第2章 土地の財産評価第4節借地権の推認1具体例 ―建築された建物との整合性―山形産業株式会社は、代表取締役社長で令和元年11月12日に死亡した山形正昭さんが発行済株式数の過半数を所有する法人です。被相続人山形正昭さんの相続税申告の財産調査の一環で、山形産業株式会社の取引相場のない株式の評価を行う必要があり、同社が「小会社」に該当することから、スタッフが純資産価額の算定に必要な不動産の資料を収集しています。相続人で代表取締役を承継した長男の山形正則さんから、山形産業株式会社は10年以上前に自社所有の敷地(A土地)の上に自社所有の建物を建築しているため、山形一族との地代家賃のやり取りはないと聞いていました。しかし、不動産調査の結果、下記の事実が判明します。A土地の隣地は山形正昭さん所有の宅地(B土地)でしたが、地積と建物の面積の状況は下記のとおりでした。❶ 地積 A土地:500㎡ B土地:500㎡❷ 法人所有の建物の建築面積 1階:600㎡ 2階:500㎡❸ 建ぺい率:80% 容積率:200%1. 疑問点まずもって、A土地単独の敷地500㎡の上に、法人所有の建物(1階建築面積600㎡)を建築することはできません。建ぺい率は80%ですので、単純に考えても、A土地の宅地が建物で隠れるのは400㎡以下でなければなりませんし、本件では容積率の規制も逸脱していることになります。この事実関係を長男の正則さんに報告したところ、B土地まで法人所有であると誤解しており、B土地の固定資産税も法人でまとめて支払っていたということでした。

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