相続税申告書 最終チェックの視点
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51第2節 全部事項証明書から情報を読み取る判決・裁決例■ 登記簿はあるが実在性が確認できない土地〈平成13年3月16日・広島国税不服審判所裁決〉(略)そうすると、A土地をもって本件土地に該当するという事実は認めることはできず、請求人らが本件相続によって本件土地を取得したことを根拠付ける証拠は、本件土地の登記簿謄本のみということになる。しかしながら、登記簿謄本によれば、(略)各土地を合筆し、同日付で、(略)分筆され、さらに、その後、分筆を繰り返して、(略)図として示されているような状況となっているところ、K法務局の登記表記担当係官の当審判所に対する答述によれば、(略)表示登記の閉鎖が見落とされたという可能性も否定できないのである。以上のことからすると、A土地が本件土地であるとする事実は認めることができず、むしろA土地は(略)の土地の一部と認めるのが相当であるから、結局のところ、本件土地の位置を特定することはできないといわざるを得ず、これを覆すに足る証拠も認められない。そうすると、本件土地は、現時点においてその存在を確定できないから、相続税の課税価格の計算において相続財産には含まれないと解するのが相当である。以上のとおり、請求人らの更正の請求には理由があるから、原処分は全部を取り消すべきである。

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