士業連携をめぐる7つの知恵
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筆者は、相続・事業承継を専門とする税理士です。これまで■■年以上にわたり、相続分野を専門に業務を行ってきました。現在も、相続業務のみで税理士法人アクセスの相続事業部を運営しています。その中で、相続に関する様々な専門家の皆さんと連携し、良好な関係を保ちながら、実務に対応してきました。相続業務に取り組むにあたっては、他士業をはじめ、相続に関する専門家との協業が不可欠です。なぜなら、一口に相続業務といっても、クライアントからの相談内容は様々だからです。相続税・贈与税に関する相談はもちろんのこと、遺言や後見、信託に関するものや不動産の名義変更に関するものまで多岐にわたります。当然ながら税理士のみでは対応することはできません。クライアントの要望に応えるには、他士業の先生方と連携する必要があります。実は当初、他士業の先生方との連携にあたり戸惑うことがありました。それは、実際に協業を依頼するにあたり、「この案件は本来どの士業の専門分野だろう?」という疑問があったからです。私たち税理士は、税務の専門家として比較的業務の線引きが明確です。しかし、相続業務に関係する他士業として挙げられる弁護士・司法書士・行政書士・土地家屋調査士は、その業務の線引きが入り組んでいるように感じられ、率直に「どうしてこのようなわかりにくい状況になっているのだろう?」と思っていました。ただ、他士業の相続業務についての理解なくして本当の意味での協業はできません。私は、自分なりに各士業法や各士業の歴史、業際問題に関する判例などを研究し、実務を踏まえながら他士業の相続業務についての理解を深めるように努めました。その結果、現在ではより良好な関係の中で相続業務について協業し、実務に対応できるようになっています。折しも、税理士業界において相続分野は数少ない成長分野の一つと目さはじめに

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