でも、誰が、何を、いくら相続するかという遺産分割の工夫等によって、相続税等を軽減することが可能です。相続発生後、相続税等の軽減を考慮した遺産分割をする場合、特に留意すべき点を4つ挙げると、①第一次相続の相続税の軽減、②第一次相続の相続税の有利な納税選択、③相続後の相続人の所得税の軽減、④次の相続税の軽減についてそれぞれ熟慮することです。以上のような点を考慮して遺産分割を行うためには、相続税の申告期限までに共同相続人間において円満に遺産分割協議ができることが前提となります。本書は、平成10年に初版を発刊し、令和3年まで毎年改訂を重ねました『タイムリミットで考える相続税対策実践ハンドブック』をリニューアルしたものです。旧版のうち相続発生後の対策を「遺産分割・申告実務編」として、相続発生後から申告期限後3年以内の対策について、設例などを用いて分かりやすく解説しています(相続発生前の対策については、「生前対策編」として令和4年9月に発刊させていただいています。)。本書が相続発生後の対策について、読者諸賢の参考になる部分などがあれば幸いです。なお、設例などの数値は、解説の内容を理解しやすいように、金額の単位は万円とし、計算においては万円未満の金額は原則として四捨五入して表示していますので、一定の誤差が生じることについてご了承ください。また、文中意見にわたる部分は私見ですので、念のため申し添えます。令和4年12月(注)文中解説において、推定被相続人及び推定相続人を、単に「被相続人」及び「相続人」として表記している部分がありますので、解説の内容に応じて読み替えをお願いします。税理士山本和義
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