①貸家建付地としての評価額330,000千円×(1-60%×30%×100%)=270,600千円(自用地評価額)借地権割合借家権割合賃貸割合②小規模宅地等の相続税の課税特例の適用後の評価額270,600千円×200㎡330㎡×50%+270,600千円×330㎡-200㎡330㎡=188,600千円○※200㎡までの部分について50%評価○※200㎡を超える部分について通常の評価一部分に土地所有者の居住用部分を設けて貸家事業の用に供した場合の宅地の評価と小規模宅地等の相続税の課税特例の取扱い1棟(戸建住宅又は集合住宅の別を問いません。)の建物につき、被相続人等(注1)の居住の用と貸付事業の用との複数の用に供されるものがある場合における当該建物の敷地の用に供されている宅地につき、それぞれの用に供されている当該宅地が特定居住用宅地等及び貸付事業用宅地等に該当するとき(注2)には、それぞれに掲げる小規模宅地等の区分に応じて、小規模宅地等の相続税の課税特例の取扱いを適用するものとされています。(注1)『被相続人等』とは、被相続人又は当該被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の親族をいいます。(注2)Q1の事例の場合には、母(被相続人の配偶者)が、当該建物(被相続人の居住用兼貸家用建物)の敷地の用に供されている宅地の全部を相続により取得し、貸家用建物(被相続人は相続開始前3年を超えて継続して特定貸付事業を営む者に該当)について相続税の申告期限まで貸家経営を継続するとのことですから、当該宅地は、特定居住用宅地等(居住用部分に対応する部分)及び貸付事業用宅地等(貸家用部分に対応する部分)に該当することになります。(→第2章第1節12のQ3及びQ4を参照)上記の取扱いから、Q1の事例の助言に基づいて土地の有効活用を実行することにより、小規模宅地等の相続税の課税特例につき、当該建物の敷地の用に供されている宅地の全部について、特定居住用宅地等(課税価格算入割合20%、適用上限面積330㎡)及び貸付事業用宅地等(課税価格算入割合50%、適用上限面積200㎡)を組み合わせることによる取扱いが可能となり、上記に掲げる土地の有効活用方法(建物全体を貸家事業の用に供用する方法)よりも有利な取扱いとなります。上記に掲げる土地の有効活用方法を採用して、被相続人の居住用部分も含んだ賃貸住宅を建築した場合には、当該宅地上に存する建物の利用状況に差があることから、適用上限地積が330㎡の小規模宅地等と200㎡の小規模宅地等の2つの地積の異なる小規模宅地等が存することになりますが、この場合には、一定の調整方法により、それぞれの小規模宅地等に係る特例適用地積を計算するものとされています。事例の場合には、特定居住用宅地等(被相続人の居住用部分の敷地に対応する宅地部分)に該当する地積部分から優先的に適用する方法を選択することが有利な取扱いとなります。この選択を行った場合における地積の計算式は下記に掲げるとおりとなります。計算式特定居住用宅地等に係る適用地積次の又はロに掲げる地積のうち、いずれか少ない方の地積特定居住用宅地等の適用要件を充足する宅地の地積第3章相続税対策(事前・事後対策)編1031
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