る各相続人の所得税計算上の論点まで、相当広範囲な視点まで論及しています。相続税の初学者、又はある程度は理解しているがもう一度基礎からしっかりと相続税に取り組んでみたいと考えられる方には、『教科書』として、第1章から順次、学習することによって実務としての相続税が体系的に確認できるように構成しています。上記に掲げる各章について、実務上重要な項目を厳選し、いわゆるQ&Aの形式で作成していますので、関心を寄せられている事項、実務上の必要性から確認をされたい事項等、読者の必要に応じて該当項目を検索して利用していただくというような、ハンドブック的な活用方法もあるのではないかと考えています。本書を上手に工夫して利用していただき、読者である相続税の学習者、実務家、その他相続税に深い関心を寄せられる方々が、より複雑となった今日の相続税に係る諸論点に対して、実務上適正な対応を図るための一助となれば、筆者としてこれ以上の喜びはありません。ただ、筆者は、何分にも浅学非才であり、まだまだ経験不足であるところに、実務に従事しながらの制約された時間を利用しての執筆という条件のため、十分に読者諸賢の意に沿いきれたものになっているのか検討すべき部分もあるかと思われますが、これについては、今後の改訂の機会を待ちたいと思います。なお、文中意見にわたる部分は、筆者のまったくの個人的な見解によるものであることを念のため申し添えさせていただき、その取扱いに関しては十分にご配慮を願います。最後になりましたが、今回、本書刊行の機会を与えていただきました清文社小泉定裕社長をはじめ、執筆に当たり何かとお世話、ご助言をいただいた編集部の皆様(特に遅筆の筆者を温かく見守ってくれた担当の前田女史)に対して、深い感謝の意を表したいと思います。平成20年9月吉日税理士笹岡宏保
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