平成元年の消費税導入から、30数年が経ちました。当初3%の税率が、その後5%、8%、10%と引き上げられました。1%の引上げで2兆円の税収増といわれ、現在の消費税および地方消費税の税収は20兆円を超えています。国税収入の合計額がおおよそ60兆円ですから、消費税収はその3分の1を占めます。今後のさらなる税率引上げで、そのウエイトがますます高まっていくのは必至です。 現在のところ、消費税のおおよその申告件数は、法人事業者が200万、個人事業者が120万で、そのうち簡易課税を選択しているのは、法人が30%、個人が60%となっています。 過去30数年間に、税率の引上げ、免税点の引下げ、簡易課税制度の適用上限の引下げ等、あれこれ改正がありました。それに伴い届出や申告書類の種類が増加し、制度が複雑化してきています。 所得税や法人税と違って、消費税は事業が赤字でもかかってきます。また、納税額を算定する上で、正確な帳簿記録が欠かせません。計算の仕組みも徐々に複雑となり、とくに中小・零細事業者にとっては、資金繰りや事務処理面での負担が増大してきています。 本書では、消費税計算のイロハと申告書の書き方を説明しています。初めて課税事業者となる方、あるいは、これまで簡易課税だったのを原則課税に変更する方など、必要に迫られて初めて税金の本を読む人でも、拒絶反応を起こさず最後までお読みいただけるように、全編を会話形式でつづりました。なお、本書の改訂にあたっては、令和5年10月施行のインボイス制度に関する記述を大幅に加筆しました。読者の皆様のご研鑽を祈念いたします。 最後に、本書の出版にあたっては清文社出版開発室長の宇田川真一郎氏に大変お世話になりました。心よりお礼申し上げます。 令和4年9月鈴木 基史 1はしがき
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