3.商工省「製造原価計算準則」の設定(昭和12年:1937年)4.「陸軍軍需品工場事業場原価計算要綱」(昭和14年:1939年)および「海軍軍需品工場事業場原価計算準則」(昭和15年:1940年)の制定局内に置かれた財務管理委員会が公表した「原価計算基本準則(未定稿)」が最初となる。この「準則」では、原価要素を物品費、労働費、費用の3つに区分し、さらにそれぞれを直接費と間接費に分けている。この「準則」は、次の「製造原価計算準則」の基礎となったものであって、実務的な影響は無いものの我が国で初めて公にされた原価計算基準としての意義を有する。原価計算基準を、企業の原価計算実務を規制する制度的ルールと解することを前提とする場合、日本における原価計算基準の制度的設定は、昭和12年(1937年)11月に公表された「製造原価計算準則」(商工省財務管理委員会)が最初とされる。これは、上記「原価計算基本準則(未定稿)」をもとに審議検討され、正式に公表されたものである。この「製造原価計算準則」は、当時の産業合理化運動の一環として原価計算を普及・徹底させるために制定されたもので、以後における原価計算基準の基となった。昭和12年の日中戦争以後、戦時経済の企画・推進を図るため、内閣に企画院が設置され、昭和14年には「価格等統制令」が公布された。このような状況の中で「陸軍軍需品工場事業場原価計算要綱」及び「海軍軍需品工場事業場原価計算準則」の制定がされた。318
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