原価計算の税務
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 原 原価価計計算算基基準準のの概概要要この章では、我が国の原価計算基準(企業における原価計算の慣行のなかから会計理論および基準設定目的に照らし、一般に公正妥当と認められる規範とされるもの)の変遷を概観し、読者の参考に資することとする。原価計算基準の萌芽としては、大正14年の「海軍工作庁工事費整理規則」があるが、この「規則」は、制定のはじめから公表を意図した一般的な原価計算基準として定められたものではなく、あくまでも海軍工作庁という特定の組織における特定の原価計算の規則としてのものであって、戦前は極秘文書として扱われていた。この「規則」では、個別原価計算のみの手続きを定め、工事費を本費と付属費に区分している。本費は、現在の直接費、付属費は間接費に該当するものと考えられる。その上で、これらを工費、材料費、外費の三要素に区分している。工費は労務費、外費は外注加工費に該当すると考えられる。上記の「海軍工作庁工事費整理規則」は、特定の組織内の規則としてのものであったが、一般的な原価計算の指針としては、商務省臨時産業合理1.「海軍工作庁工事費整理規則」の制定(大正14年:1925年)2.‌‌商工省「原価計算基本準則(未定稿)」の公表‌(昭和8年:1933年)第第三三部部第六章 制度的原価計算基準の変遷 — 317第六章‌制度的原価計算基準の変遷

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