原価計算の税務
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(5) 未成工事支出金の中に含まれる使途不明金については、法人税確定申告書別表4において、加算(流出)減算(留保)の両建ての処理をする。(6) 建設業者等による共同企業体(JV)方式による請負工事等において、その幹事会社が収受する特別な利益(スポンサーメリット)のうち、機械損料差額および人件費差額等については未成工事支出金を減額する処理も認められる。(1) 適格資産に直接起因する借入費用 いわゆる「ヒモつき」の借入金であり、適格資産の取得資金を調達するための借入金が明確に区分・判明しているのであれば、当該借入金に係る利息を、適格資産の取得原価に算入することになる。(2) 一般目的で資金を借り入れた場合の借入費用 この場合には、「資産化率」の概念を用いて、資産計上すべき借入費用を算出することになる。 「資産化率」とは、要は、借入金の加重平均レート(借入金残高に対する借入コストの加重平均)のことである。つまり、「適格資産」の取得に関する支出額に、借入金の加重平均レートを乗ずることにより、資産化すべき(取得原価に算入すべき)借入費用を便宜的に算定する方法が使用される。208使途不明金を支出した事業年度において、この処理をしておくことにより、法人が完成工事原価に振り替えたときに、振り替えた事業年度においてその金額の損金算入を自己否認することになる。つまり、原価として完成工事売上に対応する損金となる金額のうち、使途不明金の額は、損金とした事業年度に係る法人税確定申告書別表4において加算(留保)することにより損金性を否定する(基通9-7-20)必要があるからである。JVの幹事会社(スポンサー)となると、JV運営の主導権を持ち、JVの

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