移転価格の実務Q&A
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94〔同時文書化免除国外関連取引の移転価格文書作成〕当社には国外関連取引がありますが、日本の法令上、同時文書化免除国外関連取引に該当します。そうした場合、ローカルファイルの作成は必要ないと判断してよろしいでしょうか。もし作成しなければならないとしたのなら、なかなか答えづらいところでしょうが、ざっくばらんなところで、取引金額がいくら程度あれば、ローカルファイルに匹敵する移転価格文書を準備すべきなのでしょうか。◉解説◉まず、日本側の切出損益計算を行ってみましょう。その結果を見て、ローカルファイルを作るか・作らないかを判断すべきです。わが国の移転価格税制上、ローカルファイルの作成の要否の判断は、個々の国外関連者ごとに、前期の取引合計額50億円以上、または、無形資産取引合計額3億円以上の金額基準により行われます。それ以外の国外関連取引については、一義的には、同時文書化免除国外関連取引として扱われます。しかしながら、調査官が、独立企業間価格を算定するために重要と認めた書類等の提示または提出を求めた場合には、60日を限度として、会社は、これを提出しなければなりません。そこで、仮に、金額基準に該当しない場合でも、会社が、何らかの懸念や疑問を抱いている場合は、一定の検討を行い、必要と判断した場合には、ローカルファイルに匹敵する書類をあらかじめ作成されることをお勧めします。以上が、よく聞かれる模範的な回答です。しかし質問者は、こうしたいわば杓子定規な回答を期待しているのではないでしょう。そこで、いま一歩踏み込み、回答を試みます。498│

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