移転価格の実務Q&A
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89〔レンジ(幅)の使用〕移転価格では、調査における所得移転の蓋然性チェック、課税、事前調査(APA)、ローカルファイルなど、様々な局面で幅(レンジ)が用いられていますが、それらは、同一と考えてよいのでしょうか。相違があるとしたら、何が違うのでしょうか。幅に対する考え方は、どの国でも同じ扱いなのかもあわせて教えてください。解説をご覧ください。◉解説◉1わが国の現行の取扱いわが国の移転価格税制では、独立企業間価格は1つであるという発想に立っています。これは、移転価格の法令である措法第66条の4第1項において、「(前略)当該法人が当該国外関連者から支払を受ける対価の額が独立企業間価格に満たないとき、又は当該法人が当該国外関連者に支払う対価の額が独立企業間価格を超えるとき(後略)」とあることからわかります。ただ、法令が、複数の比較対象取引があることを否定しているとは考えられてもいません。複数ある場合は、同第2項第一号ニ、および二号、措令第39条の12第8項第七号などの適用を受けるとされているのです。つまり、「準ずる方法」として法令の適用が可能だと考えられているのです(☞42)。そして実際の計算は、平均値を用いられてきました。464│

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