移転価格の実務Q&A
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に用いる数値が異なってくるからです。当局により課税されるケースの中には、取引単位の誤りに起因するものも多く、注意すべきです。ただ、残念なことに、この点について具体的に説明している本は、これまでほとんどありませんでした。そこで、本書では真正面からこの問題を扱い、取引単位と切出損益計算について章を設け詳述しました。〇リスクっていったいなんだ?移転価格では、機能リスク分析が重要だといわれます。リスク分析は、為替リスクや信用リスクなどを、親会社と子会社のどちらが負担しているかを把握すればよいと、単純に理解されていないでしょうか?実は、それだけでは不十分です。リスク分析をどう行うかについては、わが国の法令・通達では、残念ながら詳述されていません。そこで、最新のガイドラインをもとに、「Ⅲ移転価格分析」において、様々な分析の視点やアプローチを紹介しています。〇改正された無形資産の関連事項を網羅令和元(2019)年度税制改正において、無形資産の定義の変更、特定無形資産国外関連取引の価格調整措置(日本版所得相応性基準)の新設、移転価格算定方法として新たにDCF法が採用されるなど、見逃すことのできない改正が行われました。それらの内容について、図やフローチャートなどを用い解説しています。〇移転価格を構造・重層的に理解する本書は、出版社のご要望から、Q&A形式で執筆しました。当初、私は、移転価格税制とそこから派生する様々な分析は、それ自体が構造・重層的であることから、1つのQに対して1つのAや解説による形式は馴染まないのではないか、との危惧を強く抱いていました。実は、この点が、多くの方にとり、移転価格の理解を妨げる主要因となっているのではない

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