移転価格の実務Q&A
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57〔切出損益計算の必要性〕当社は、A国にある国外関連者Sとのみ国外関連取引を行っています。このような場合にあっても、切出損益計算を作成する必要があるのでしょうか。作る必要がある場合は、その理由は何でしょうか。切出損益は、少なくとも貴社とSの2つ分が必要となります。また、取引単位が異なれば、各々作成することにもなります。仮に、国外関連取引が棚卸資産取引だけであっても、取引単位をどのように捉えるかにより、作成する切出損益の数も異なってきます。移転価格は、取引単位でその問題を検討することから、貴社から見てSとの取引全体で利益が上がっており、移転価格上の問題は表面上はないと見えたとしても、取引単位ごとでそのようにいえるのかを、確認する必要があるためです。◉解説◉ここで回答をより具体的にイメージできるように、最もシンプルな取引を用い、段階を追い考えてみましょう。図表57-1を見てください。いま、日本の親会社Pと海外の子会社Sがあるとします。Pは日本の第三者から製品を40で仕入れ、Sにのみ販売しています(設例では、Pは日本国内で誰にも販売していないとします)。一方、Sは、Pのみから仕入れた製品を第三者に100で販売しています(設例では、SはPの他にどこからも仕入れていないとします)。この結果、PとSとの合計利益は60(=100-40)となります。切出損益を求めることは、この60の利益を分析することに他なりません。268│

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