移転価格の実務Q&A
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図表29-2リスク・コントロールで求められる能力と機能遂行30〔機能リスクの数値化〕機能リスクを分析する際に、機能リスクの「採点表」を作り、5段階で評価することにより数値化をはかり、国外関連取引に関係する当事者を評価するのはどうでしょうか。機能リスク分析によって把握される機能(役割)やリスクは、基数的に、数量単位で測ることは不可能です。そのため、様々な機能やリスクの不確実性により5段評価を行うなどの方法は、不適当といえます。機能リスク分析は、あくまでも相対的、序列的に機能リスクの評価を行い、利益の源泉や貢献を把握し、比較対象取引の選定における移転価格算定方法の決定や、検証対象をどちらにするかなどに繋げ、具体的な比較対象取引の決定に繋げていくことになります。◉解説◉この問は、筆者が税務当局の職員であったときに、移転価格の事務に初めて携わることになった同僚から尋ねられたものです。彼は頭のなかで、図表30-1のような機能リスク分析表を用いて、「○」で表示される機能リスクの負担「大」を5点、「△」で表示される機能リスクの負担「中」を3点、「ᴷ」で示される機能リスクの負担「無」を0点のように採点する128│外部委託する活動の目的を定める能力リスク軽減機能の実施者を雇うことを決定する能力目的が適切に達成されているかどうかを評価し、かつ必要な場合にはその実施者との契約を変更または終了することを決定する能力を必要とし、加えてこれらの評価および意思決定の遂行を必要とする。能力と機能遂行が必要

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