移転価格の実務Q&A
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はじめに〇実務をできるかぎり詳細に移転価格のコンセプトは実にシンプルです。第三者たる非関連者が行う価格に、自らの取引価格を引き直して考えればよいのですから。しかし、いざ、会社の取引に問題がないかを検討しようとすると、あるいは、移転価格文書を作成しようとすると、はたしてどこから手をつければよいのか、どんな作業をすればよいのかが、よくわからないというのが実感ではないでしょうか。本書の第1の特徴は、そうした疑問に答えるために、実務では具体的にどのようなことを行うのかを、図表などもまじえ詳細に解説した点です。〇日本の当局ばかりか海外の当局の対応のためにもOECD移転価格ガイドライン会社には、こんな要望もあることでしょう。移転価格の税制は国ごとに違うものの、日本ばかりか、海外にも通じる対応策をはかりたい。ごもっともです。日本でよくても、子会社などがある国で問題が起きたのでは、グループ企業としては同じことでしょうから。そこで、本書では、日本の移転価格税制とともに、OECD移転価格ガイドライン(以下「ガイドライン」といいます。)についても説明を行っています。日本の通達等であいまいな部分は、ガイドラインを用いて説明を試みました。どうしてガイドラインなのか?それは、いまやガイドラインが、いわばグローバル・スタンダードとしての役割を担っているからです。〇ルートを間違えればめざす山頂には決して辿り着けない移転価格の対象は「取引」であることから、取引単位をどのように捉えるかは、もっとも大切な視点です。どう捉えるかにより、移転価格の検証

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