情報提供することを意図するものではない。主税局が公表する税制改正の解説は時に立案担当者の説明として重視されるものであるし、国税庁が公表する通達やQ&Aなどは、一般に、難解で抽象的な税法の条文をわかりやすく具体的に解説する点で納税者にとって有益なものである。しかしながら、これらはあくまで法令の内容を理解するための参考資料にすぎない。租税法の世界には、租税の賦課・徴収は必ず法律の根拠に基づいて行われなければならないという峻厳なる租税法律主義の原則が存在する(憲法30、84)。かかる原則の面前では、法律ではなく、また、法律からの委任によって制定されたものではない当局の解説や通達等が直接的には法規範性を有していないことの意義を軽視することはできない。以上を踏まえて、本書では、収益認識会計基準の公表を契機として創設された法人税法22条の2を中心とする関係法令及び通達を解説しつつ、疑問点や問題点を考察する。その際、できる限り、研究者や実務家等の多様な見解を紹介することで、読者が直面するであろう疑問や問題の解消・解決に有益な情報を提供する。令和5年3月 泉 絢 也
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