更■■検討第Ⅲ部 法人税法22条の2の逐条解説とすると定めているのである。収益の額を修飾している部分を意識して読むと、収益の発生原因と時間的帰属の概念が埋め込まれていることに気が付く。すなわち、当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、「取引」に係る収益の額であり、かつ、「当該事業年度」の収益の額である。単に「収益」なる概念を規定しているのではなく、収益の発生原因と時間的帰属というフィルターを設けることで、当該事業年度の益金の額に算入すべき収益の額に絞りをかけていると見ることもできる。法人税法22条2項にいう「別段の定め」の範囲に関する従来の議論を眺める限り、基本的に23条以下がこの「別段の定め」に該当することに異論はないが、法人税法の「特例」として定められている租税特別措置法(同法1条参照)などを含むかどうかについては見解が分かれている。立案担当者は、「別段の定めとは、法人税法、同施行令、租税特別措置法等の法令その他による定めをいう」(吉牟田勲「所得計算関係の改正」税務弘報13巻6号140頁)、「法人税法の他の規定は勿論、租税特別措置法その他の法律および政令を含むもの」と説明している(国税庁『昭和40年版 改正税法のすべて』102頁)。〜「益金」又■「損金」■純資産増加説〜「益金」又は「損金」という用語は、法人税法が往年より使用していた、法人税法固有の色彩が強い概念である。かかる概念の使用は、法人税法上の所得ないし所得の金額は企業会計又は会社法会計でいうところの利益と一線を画していることの表れであると解し得る。法人税法22条の基本的枠組みは昭和40年の法人税法全文改正によって作られたものである。全文改正前の旧法人税法は、「法人税の課税標準は、各事業年別段■定■■■?283
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