逐条解説 法人税法第22条の2
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21内国法人の各事業年度の所得の金額当該事業年度の益金の額当該事業年度の損金の額=-【所得の金額の算式】第Ⅲ部 法人税法22条の2の逐条解説「法人の所得」というのは基本的には「法人の利益」と同義であって、法人の事業活動の成果を意味する。法人税法22条1項は、わが国の企業会計において、法人の利益が、損益法すなわち一定期間における収益からそれを得るのに必要な費用を控除する方法で計算されることを前提として、法人の各事業年度の所得の金額を上記のような算式で導き出すこととしている。「収益・費用」という言葉の代わりに「益金」、「損金」という言葉を用いているのは、企業会計の場合と異なる取扱いが多いためである(金子宏『租税法〔第24版〕』344頁(弘文堂2021)参照)。かような理解は、法人税法が課税の対象として想定する所得は、純資産価値の単純な増減ではなく、企業が営む経済活動の成果としての所得が選択されているという指摘にもつながる(中里実ほか編『租税法概説〔第4版〕』167頁〔吉村政穂〕(有斐閣2021)参照)。法人税法22条は、法人税の課税標準たる所得の金額の計算に関する基本的な規定と位置付けることが妥当であるが、法人税法は、所得の概念を規定することなく、益金の額と損金の額との差額をもってその額を算出することとしている。また、同条は、益金及び損金について、それぞれの内容を概念的に画定するというよりも、「益金の額に算入すべき金額」及び「損金の額に算入すべき金額」として、やや計算規範的な定めを有しているにすぎない。法人税法22条2項概要26

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