法人税事例選集
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【問1-2】 公益法人等が、収益事業を営んでいる場合の課税関係はどのようになりますか。また、収益事業を営んでいない場合でも、損益計算書等を所轄税務署長に提出しなければならないという規定があるそうですが、どのような規定ですか。公益法人等に対する法人税の課税制度と損益計算書等の提出制度【答】 まず、御質問の前段ですが、公益法人等は、収益事業を営む場合、法人課税信託の引受けを行う場合又は退職年金業務等を行う場合だけ、法人税が課税されます。(法4①ただし書)その行う事業が収益事業に該当する場合には、その行う事業が当該公益法人等の本来の目的たる事業であるときであっても、当該事業から生ずる所得に法人税が課されます。(基通15-1-1)公益法人等の収益事業に対する課税の規定が、一般私企業との競争関係、課税の公平に着目して設けられたものですので、法人税法施行令第5条第1項に掲げられた34種類の事業を行う場合、その事業の公益性の有無に関係なく、当該収益事業から生ずる所得に法人税が課税されます。 なお、次の点で他の法人と異なった取扱いがされています。① 収益事業から生ずる所得に関する経理と、収益事業以外の事業から生ずる所得に関する経理とを、区分して行わなければなりません。(法政令6)  この場合、単に収益及び費用に関する経理だけでなく、資産及び負債に関する経理についても区分して行わなければなりません。一の資産が収益事業の用と収益事業以外の事業の用とに共用されている場合(それぞれの事業ごとに専用されている部分が明らかな場合を除きます。)には、当該資産については、収益事業に属する資産としての区分経理をしないで、その償却費その他当該資産について生ずる費用の額のうち収益事業に係る部分の金額を当該収益事業に係る費用として経理します。(基通15-2-1)  収益事業を開始した日において、収益事業以外の事業に属する資産及び外部負債を収益事業に属するものとして区分経理した場合、当該資産の額の合計額から当該外部負債の額の合計額を減額した金額を元入金として経理したとしても、当該金額は、資本金等の額及び利益積立金額のいずれにも該当しません。その後において、収益事業以外の事業に属する金銭その他の資産を収益事業に属するものとして区分経理した場合の当該金銭その(  3  )

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