令和4年版 法人税申告書の作り方
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2 この明細書の作り方を説明します。−58−1  この明細書は、まず「期首現在利益積立金額」を記載し、その後別表四から別表十七㈢関係までを記載し、さらに別表一から別表三㈦までの記載をした後で残りの部分を記載して作成します。⑴ 〔前期からの繰越処理〕  期首現在利益積立金額は、原則として前期のこの表の「差引翌期首現在利益積立金額」の金額を移記しますが、前期の所得金額等について修正等をした場合は、修正申告書等の「翌期首現在利益積立金額」の金額を移記します。⑵ 〔当期中の増減〕  別表四の「留保②」欄の金額は、次のようにこの表と関連させて、利益積立金額の当期中の増減を行います。 ㈠(剰余金処分経理による会計との率離)   別表四の「留保②」の金額を、この明細書の③の1からまでの各欄に移記します。会社法上、事業年度と対応させる利益処分の概念がなくなりました。ところが税制上は、利益処分を前提とした利益配当や圧縮記帳の積立金経理をそれに対応する事業年度に取り込んで処理をしています。剰余金の処分(従来の利益処分)については、それに対応する事業年度ではなく効力発生日において処理をすることを原則としつつも、留保金課税上の配当の取扱いについては、配当の支払決議日がその支払に係る基準日の属する事業年度終了の日の翌日からその事業年度の決算確定日までの期間内にあるものについては、基準日の属する事業年度の配当として取り扱うことになっています。圧縮記帳の積立金及び租税特別措置法上の準備金等についても同様の措置が講じられています。   なお、この場合利益積立金間における振替は、貸借対照表及び株主資本等変動計算書上の科目とこの明細書の科目に金額の異動を生じさせる場合があります。 ㈡ (別表四からの転記)   別表四の2からまでの「留保②」欄の金額をこの明細書の③の1から欄まで及び欄に移記します。   設例の場合 は、次のとおり移記します。10,663,900円→別表五㈠の③   ・損金の額に算入した納税充当金  別表四の44,000,000 →  〃  4③   ・賞与引当金繰入否認額970,000 →  〃  3③   ・退職給付引当金繰入否認額   また、前期以前に剰余金の処分で積み立てて損金算入された建物圧縮記帳積立金及び特別償却準備金の認容額の当期要取崩額で、当期利益に計上されていないものは、この明細書の③欄に記載して利益積立金額を増加させます。   なお、別表四の2及び3(税金に関する項目)の「留保②」欄の金額は、この明細書の②のから欄に記載しますが、このとき損金経理以外の方法で納付した税額と併せて記載します。   納税充当金を取り崩して未納法人税等を納税したときのような利益積立金額内での異動の場合(配当積立金を別途積立金に振り替えた場合等についても同じです。)は、別表四に関係なく、この明細書のうちで振替記載を行います。なお、法人税等を納付して仮払処理しますと、それだけ未納法人税等が減少しますが、仮払法人税等の利益積立金額を減少させる項目が新たに発生しますので、未納法人税等は②欄、仮払法人税等は③欄にそれぞれ△印を付して記載し、控除科目間の振替えを行います。二 この明細書の作り方と設例の場合

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