対照表の資本(純資産)の部に関して、税務と会計で食い違いが目立ってきています。別表4の所得計算には影響しないことが多いのですが、別表5⑴において“資本金等”と“利益積立金”の入り繰り問題が生じます。そこで第7章において、増資、減資、自己株式、DES、企業組織再編成に関する申告調整について述べています。 第8章では、グループ法人税制に関する申告調整を取り上げています。さらに、第 9章は各種会計基準に関する申告調整の解説です。税効果会計、退職給付会計、減損会計、リース会計、金融商品会計、ストック・オプション会計、資産除去債務会計、過年度遡及会計など会計基準の内容を手短に説明し、それらを適用したとき別表4・ 5の記入がどうなるかを述べています。なお、税効果会計に関しては、第2章でモデルとした資本金5億円の会社を再登場させ、その会社が税効果会計を適用した際の決算書と申告書を示して、その作成過程を説明しています。 以上により、別表4・5に関して問題となる論点はほぼ網羅したつもりです。本書で原理原則をマスターしていただけば、どのようなケースでも正しく申告調整ができるはずです。 本年版は令和4年度の税制改正に即して、前年版を手直ししました。読者の皆様のご研鑽を祈念します。 最後に、本書の出版にあたって、清文社編集第二部の皆様に大変お世話になりました。心よりお礼申し上げます。 令和4年9月鈴木 基史
元のページ ../index.html#3