プロフェッショナル グループ通算制度
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はしがき平成14年に創設された連結納税制度が抜本的に見直され、令和આ年આ月ઃ日以後に開始する事業年度からグループ通算制度が適用されることになりました。グループ通算制度は、企業グループ全体をઃつの納税単位とする制度に代えて、法人格を有する各法人を納税単位として、課税所得金額及び法人税額の計算及び申告は各法人がそれぞれ行うこと(個別申告方式)を基本とすることになります。それと同時に企業グループの一体性に着目し、課税所得金額及び法人税額の計算上、企業グループをあたかもઃつの法人であるかのように捉え、損益通算等の調整を行う仕組みとなっています。この点、グループ全体をઃつの納税単位とする制度に代え、各法人それぞれを納税単位とする個別申告方式とすることで、グループ調整計算の簡素化が図られています。また、後発的に修更正事由が生じた場合についても、各法人それぞれを納税単位とする個別申告方式とすることで、企業グループ内の一法人の事後的な課税所得金額又は法人税額の修正が、その企業グループ内の他の法人の課税所得金額又は法人税額の計算に波及しない仕組みを構築しています。さらに、グループ通算制度における開始及び加入は、合併や株式交換と経済的実態が同じであるものとして、開始・加入に伴う時価評価課税及び繰越欠損金の切捨て等について、組織再編税制と整合性が取れた仕組みに見直しを行っています。また、離脱等についても、離脱に伴う時価評価課税や離脱見込み法人株式の時価評価課税が新設されるとともに、投資簿価修正について、簿価純資産価額を基礎とした修正に見直すなど利益・損失の二重計上の防止を強化しています。本書は、プロフェッショナルシリーズのひとつとして、「税務のプロ必携の一冊」を目指し、グループ通算制度をめぐる、あらゆる取扱いを網羅的に解説したものです。①個別申告方式によるグループ調整計算の実現、②修更正の遮断措置の導入、③開始・加入の制限措置の組織再編税制の仕組みへの見直し、④利益・損失の二重計上の防止強化というグループ通算制度の基本的な仕組みを踏まえながら、図表や計算例をふんだんに使いながら解説しています。特に、投資簿価修正については令和આ年度税制改正において、企業買収時のプレミアム相当額を資産調整勘定等対応金額として離脱法人の離脱直前の簿価純資産価額に加算することで、企業買収時のプレミアム相当額が株式譲渡原価に算入されないという問題が生じないよう見直しが行われることとなりました。この投資簿価修正の加算措置については複雑、難解であるばかりでなく、実務での適用が困難になることが予想されており、本書ではこの加算措置についても十分な紙面を割いています。なお、『プロフェッショナル』シリーズの特徴である裁判例及び裁決例については、制度創設時であるためグループ通算制度を巡る争いがなく、また、過去、連結納税制

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