地代・家賃改定の実践手法
21/30

51第3章 賃料相場を知る 〜今の賃料は高い? 安い?〜1 継続賃料の争いは日本特有の現象である なんでもかんでも「海外ではこれが普通」とか、「グローバルスタンダードではこうだ」などというつもりもないし、それに合わせる必要もないと思うが、「継続賃料」という考え方や賃料増減額の争いは日本特有のものらしいということを認識していた方がいいかもしれない。 国により不動産の所有形態が異なるため一概には言えないが、諸外国においては、借家では契約期間が必ず定められ自動更新のない定期借家契約の形式、借地でもいわゆる「リースホールド」として、定期借地契約の形式をとられるのが一般的である。これらの契約では、原則的に、契約期間内の賃料変更はなく、期間が満了すれば、契約は終了する。お互いが賃料その他の条件で合意すれば、再契約することになる。合意に至らなければ、退去するだけのこと。極めてシンプルであり、賃料の増減で揉めるという事態は起こらない。 一方日本において定期借地、定期借家制度が整備されたのは平成4年以降であり、いまだ普通借家契約が一般的であるし、旧借地権も多く残る。この状況は、ひとえに借地借家の歴史的経緯に起因すると思われるため、簡単にまとめてみる。(1)建物保護法(建物保護ニ関スル法律)制定 1909年(明治42年) 借地権者は借地上に所有する建物の登記がされていれば、土地の所有者が代わっても賃借権または地上権を主張できるようになった。それまでは土地の所有者が代わると賃借権が登記されていなければ新しい所有者に対抗できなかった(売買は賃貸借を破る)。日露戦争後の地価高騰の際、地代

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る