中小建設業のための“管理会計”読本
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はじめに-建設業における管理会計の活用について- わが国の建設業に関する会計情報システムのうち、特に管理会計に関するテキスト的な成果はほとんど見られません。このたび、本書を世に問う意義に関係する基本的な考え方のうち、本書編纂のコーディネータとしての見解を3つに分けて冒頭に述べておきます。◇ 企業会計の体系-財務会計と管理会計 企業会計は、一般に財務会計と管理会計とに区分して論じられます。ビジネスに関わる方々は皆ご承知のように、財務会計は制度とか法規に基づく画一的な基準によって制約された会計情報で、株主や金融機関のような人々(外部利害関係者)に対して、会計期間として区切られた企業経営の実態を、会計情報として開示(ディスクロージャ)するためのルールです。 建設業の会計に「工事契約会計基準」が制定されて、10年を経過しようとしています。ちなみに、同基準は、平成19年12月27日に公表され、平成21年4月1日に、建設業の適切な会計実践として本格的適用が開始されたものです。このことは、建設業におけるいわゆる財務会計の領域に、会計整理の拠り所となる統一的かつ強い会計基準が制定されたと評価され今日に至っています。 これに対して、管理会計に関する会計情報は、企業の経営者(マネジメント)が自ら活用する会計情報の作成と利用に関する会計です。企業自らの意識や嗜好のもとに作り上げた仕組み(システム)です。経営者あるいは管理者が、そのマネジメントの遂行に役立つような情報のひとつであり、財務会計と異なり、どのような会計情報システムを構築するかは、経はじめに◆1
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