新たな収益認識基準 実務対応
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142Ⅱ 取引事例に見る会計処理の相違と問題点IFRS第15号の取扱い IFRS第15号では、財・サービスの提供による収益を一定期間にわたり認識するか否かを要件に照らして検討し、要件に該当しない場合は、一時点で収益を認識することになる。以下の要件のいずれかに該当する場合は、一定期間にわたり企業の履行義務を充足することになる(第35項)。① 顧客が、企業の履行によって提供される便益を、履行するにつれて同時に受け取って消費する。これは主としてサービスの提供にみられる。例えば、ビルのクリーニング契約、経理処理等の請負サービス等である。② 企業の履行が、財・サービスを創出するか又は増加させ、顧客が当該財・サービスの創出又は増加につれてそれを支配する。創出又は増価する資産は、有形、無形のいずれの可能性もある。例えば、建設業における仕掛品等がある。③ 企業の履行が、企業が他に転用できる財・サービスを創出せず、かつ、企業が現在までに完了した履行に対する支払いを受ける強制帰属事業年度》の規定の適用を受けるものを除く。略)について次に掲げるような事実がある場合には、その建設工事等の全部が完成しないときにおいても、その事業年度において引き渡した建設工事等の量又は完成した部分に対応する工事収入をその事業年度の益金の額に算入する。(1) 一の契約により同種の建設工事等を多量に請け負ったような場合で、その引渡量に従い工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合(2) 1個の建設工事等であっても、その建設工事等の一部が完成し、その完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合(アンダーラインは筆者)

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