新たな収益認識基準 実務対応
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140Ⅱ 取引事例に見る会計処理の相違と問題点 また、日本基準では工事原価総額が工事収益総額を超過する可能性が高く、かつ、超過額を合理的に見積もることができる場合には、工事損失引当金を計上することとされている(同基準第19項、第20項)。 受注制作ソフトウェアについての会計処理は、工事契約会計基準に準じるとされているが、受注制作のソフトウェアは、工事原価総額の信頼性ある見積の可否が特に問題となる。ソフトウェアの制作を受注する場合、当初に仕様の詳細まで決められない場合もあり、又は、想定外の事象の発生があり適切な原価総額の見積が困難である。より高度な原価管理が求められる。このような問題点のため、ソフトウェア開発に関する会計実務では、工事進行基準の適用は少ないといわれている。 特に原価見積が困難なソフトウェア取引の収益認識について、実務上の指針となる取扱いが設けられている(「ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い」企業会計基準委員会実務対応報告第17号)。 それによれば、受注制作のソフトウェア取引については、成果物の完了条件として、成果物に対して顧客が意図した一定の機能を有していることの確認が行われることとしている。 企業が作業の完了についての顧客への報告書提出により、成果物の提供の完了とする場合もあるが、顧客仕様の制作であるため、顧客の側で契約内容に応じて、顧客が意図したとおりの制作物が引き渡され、それらを使用するために必要なサービスが提供されたかを確認するため、一般的には、顧客の検収に合格したら収益を認識することとされている。 受注制作のソフトウェア取引において、一つのソフトウェア開発プロジェクトをいくつかの作業ごとのフェーズに分けて契約を締結し、各フェーズごとに検収を行う分割検収が見られる。ソフトウェア開発のフェーズの分け方には、当該事例のような各開発段階の完了という時系列的な分割と、購買システムの完了、販売システムの完了というようなシステムの引渡しを伴う物的な分割方法があるが、収益認識については、時
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