家族信託をもちいた財産の管理・承継
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第1節 家族信託の活用に有用な信託法の規律11家族信託の活用に 有用な信託法の規律1 受益者指定権・変更権 「受益者指定権」とは、受益者を指定する権利をいう。受益者指定権の定めがある信託においては、当初の信託行為では特定の者を受益者として指定しないことになる。「受益者変更権」とは、信託行為において受益者として指定した者を、事後的に変更する権利のことをいう。受益者を指定し、またはこれを変更する権利を有する者の定めのある信託においては、受託者に対する意思表示によって行使できるとされている(信託法89条1項)。受託者が受益者指定権等を有する場合、この受益者指定権・変更権(以下、「受益者指定権等」)は、受益者となるべき者に対する意思表示により行使することになる。受益者指定権等は、委託者の遺言によっても行使することができる(同法同条2項)。遺言による受益者指定権等の行使の効果は、その権利を有する者が死亡した時に生じるが、遺言の場合、遺言者の死亡時から受益者指定権等の行使を受託者が知るまでに時間がかかることがあることから、受託者が、変更前の受益者であった者に対して信託から給付を行うおそれがある。これによる不都合が生じないようにするため、受託者が、受益者指定権等が行使されたことを知らないときには、その行使によって受益権を取得した受益者は、受益者となったことを受託者に主張することができないものとされている(同法同条3項)。受益者変更権の行使により、受益者としての地位を失う者は、将来にわ1
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