日本版司法取引と企業対応
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111 日本版司法取引が導入された場合、企業犯罪の捜査・訴追にどのような影響が及ぶこととなるか。適宜設例を示しながら解説を加える。 日本版司法取引が企業犯罪の捜査に与える影響として、まず指摘すべきは、捜査機関が犯罪捜査の端緒を把握することが容易化・効率化されるということである。 これは、そもそも日本版司法取引を導入した主な目的でもある。 日本版司法取引により、捜査機関がどのように犯罪捜査の端緒を把握することになるのか、一例として、企業Aと企業BがJVを組んでX国におけるプロジェクト受注を目指しているというケースを取り上げる。企業Aと企業Bは現地の調達実務に精通している日本のコンサルタントCを起用したが、受注を確実なものとするため、企業Aの担当者甲と企業Bの担当者乙は、コンサルタントCを通じて、発注者の幹部である外国公捜査機関による端緒把握の容易化・効率化Ⅰ1日本版司法取引による捜査の端緒把握日本版司法取引が企業犯罪の捜査・訴追に与える影響第1節

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