日本版司法取引と企業対応
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35第1章 日本版司法取引の概要と(その場合には、供述録取書が作成され、当該供述録取書が「他人」の裁判において証拠として取調べ請求されることになると思われる)や、取締役や公務員に対する刑事裁判において、これらの事実について証言すること、さらには、従業員の手帳に贈賄に関する記載(取締役からの指示事項に関するメモや贈賄金額についてのメモ、公務員との面談日等のメモ)がある場合に、当該手帳を検察官に証拠として提出することなどが捜査・訴追協力の具体的な内容となる。 被疑者・被告人の捜査・訴追協力の見返りとして検察官が提供するのは、当該捜査・訴追協力をした被疑者・被告人自身の被疑事件・被告事件について、① 公訴を提起しないこと② すでに提起された公訴を取り消すこと③ 特定の訴因・罰条により公訴を提起・維持すること④ 特定の訴因・罰条の追加・撤回・変更を裁判所に請求すること⑤ 被告人に特定の刑を科すべき旨の意見を陳述すること⑥ 即決裁判手続申立てや略式命令請求といった簡易な手続きでの訴追をすることとされている(改正法350の2①二)。 また、①から⑥に付随する行為であり、合意の目的を達成するために必要な行為も検察官の与える見返りに含まれる(改正法350の2③)。 それぞれについて若干の説明を加える。❶ 公訴を提起しないこと ①の「公訴を提起しないこと」とは、前述した不起訴処分とすることである。4検察官の与えるインセンティブ
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