日本版司法取引と企業対応
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22元々、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案では、刑訴法350条の2第1項により、検察官は「得られる証拠の重要性、関係する犯罪の軽重及び情状その他の事情を考慮して、必要と認めるとき」に司法取引を結ぶことができることとされていた。しかし、衆議院における修正により、上記に加えて「当該関係する犯罪の関連性の程度」も考慮することとされた。29第1章 日本版司法取引の概要協力することを念頭においているが、理論的には、被疑者・被告人が全く関係していないものの知識として知っている「他人の犯罪」の訴追に協力することも含む。 元々、刑事訴訟法等を改正する法律案では、被疑者・被告人が全く関係していない「他人の犯罪」の訴追に協力することも司法取引の態様として当然に予定されていた。しかし、国会審議の過程で、自らが全く関与していない犯罪について捜査・訴追協力することにより司法取引を行うことができるとした場合、捜査・訴追協力をする側にはリスクがない故に、事実無根の申立てをするなど、えん罪を引き起こすおそれが生じるのではないかとの懸念が議員から示された。これを受けて、衆議院において、検察官が司法取引の必要性を判断するに際して、被疑者・被告人が犯した犯罪とこれから捜査・訴追協力しようとする犯罪の関連性を検討することとするとの修正が加えられた22。被疑者・被告人が犯した犯罪と「他人」が犯した犯罪が関連性を有する場合の典型例は、被疑者・被告人と当該「他人」が共犯関係に立つ場合である。そのため、司法取引の典型例は、共犯者の訴追に協力する場合となると考えられる。もちろん、「犯罪の関連性」は、検察官が司法取引を行うか否かを決定する際の考慮要素に過ぎず、自らが全く関与していない犯罪について訴追協力することでも依然として司法取引を行うことは可能な仕組みとなっている。 もっとも、自らが関与していない犯罪について、何らかの知識や情報を持っているということは、反社会的勢力の構成員等を除いては一般的には考えにくい。したがって、企業関係者が「他人の刑事事件」について、そ

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