親権・監護権をめぐる法律と実務
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101第2章 親権・監護権が問題となる場面第2章 親権・監護権が問題となる場面第8節子どもの引渡し第1 はじめに 前述のとおり、親権者は親権の効力として、未成年子の居所を指定することができます。意思能力の備わっていない未成年子が親権者の指定する居所以外の場所にいる場合、意思能力が備わっているものの本人の自由意思ではなく未成年子が親権者の指定する居所以外の場所にいる場合、親権者は子どもの引渡し請求を検討することになります。また、例えば、未成年子の両親間で、離婚を前提に親権や監護権が争われている過程において、一方の親から他方の親に対して子どもの引渡しが求められることもあります。 子どもの引渡し請求がなされる場面、その請求方法(手続)は様々です。ただ、どのような場面、方法であっても、子どもの引渡しを認めるか否かを検討する上で、最も重要な視点は「子の利益・福祉」です。つまり、争っている当事者のどちらの下で子どもが養育・監護されるのが「子の利益・福祉」に合致するのか、検討した上で、引渡し請求の認否が決められるわけです。このとき、「子の利益・福祉」に合致するか否かは、請求者の権利の有無など、単なる法律的見地からだけではなく、教育学的、心理学的、科学的な見地からの検討も必要となります。したがって、子どもの引渡し請求が争われる事案については、一般の法的紛争を取り扱う地方裁判所や高等裁判所よりも、児童心理等、専門的知識に長けた家庭裁判所調査官がいて、家事事件全般の専門的知識を有する

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