家族信託の活用事例
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まえがき 民事信託に関しては、これまでに刊行された類書があまたありますが、本書は、実際に信託契約を締結した事例を中心とし、かつ、信託契約を実際に運用していく過程で発生する問題点を中心として論じ、これまでの書籍との差別化を図ろうとの目的のもとに企画されたものです。 実際に手がけた幾つかの事件を通して知り合った我々4名が知恵を出し合い、試行錯誤しながら契約条文を構成していった経過や、契約成立後の運用上の問題点を中心としてまとめております。 信託法では、信託当事者の権利・義務に関してはかなりの条文において「信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる」旨規定されており、実際に締結する契約の条文構成そのものが比較的自由にできますが、一方でまだ制度として完熟したとまでは言えず、問題点に関する解釈・判例も固まっていないのが実情です。 信託契約はその大部分が長期の契約期間を前提としている以上、問題点が発生するのも制度の運用がある程度進んでからと思われます。 我々としては、将来の問題発生のリスクをできるだけ抑え、契約当事者が安心して締結できる信託契約を目指し、その意味で、これまで実際に作成した信託契約を中心として、今後のリスク回避の参考となればという目的で本書を刊行いたしました。 多少なりとも、今後作成される信託契約の参考となれば、執筆者一同の喜びです。 2016年8月執筆者一同
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