家族信託の活用事例
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4第1章 家族信託の基礎知識家族信託が注目されている背景[1]高齢者、障害者の財産管理 わが国は平成26年10月1日時点で高齢化率26.0%の超高齢社会で、世界で最も高い高齢化率となっています(内閣府「高齢社会白書」平成27年版、2~8頁)。加齢は、認知症発症の最大の危険要因であるとともに、運動能力や身体機能等が低下する要因でもあります。加齢により、判断能力や身体能力が減退、喪失すると、財産管理を自ら行うことが困難になったり、不可能になったりします。 わが国の身体障害者、知的障害者及び精神障害者の数も増加しており、身体障害者と精神障害者については障害者の高齢化傾向が認められます(厚生労働省「障害者白書」平成26年版、27~31頁)。 本人では財産管理が困難または不可能になったときには、本人に代わって財産を管理し、本人のために運用処分する仕組みが求められます。 現実に本人の財産管理を担っている高齢者の配偶者や障害者の親が亡くなったあとに、どのように財産を承継管理するかという問題(「配偶者なきあとの問題」「親なきあとの問題」)にも多くの方が直面しています。[2]財産の承継 わが国の平成27年の死者数は130万2,000人になり(厚生労働省「人口動態統計」平成27年の年間推計値)、初めて130万人を超えました。 来たるべき相続に備え、あらかじめ相続時に円滑に承継をする対策をとりたいと考える方が増えています。[3]委任、後見、遺言等の限界 障害者や高齢者、認知症の方の生活支援や、財産管理、財産の承継のためには、委任や後見、遺言、生前贈与等の制度が用意されていて、広く使われてい2

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