社会福祉法人の法務・財務はこう変わる
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は じ め にいま、社会福祉事業を取り巻く環境は大きく変化しています。本格的な少子高齢・人口減少社会が到来しており、2055年には75歳以上の人口が、全人口の25%超に達することが見込まれています。このような人口動態のもと、最近では単身高齢者の見守りや仕事と子育ての両立支援などが大きな社会問題となっています。これらに対する福祉サービスの重要な担い手の一つが、社会福祉法人です。しかしながら、社会福祉法人に対しては、近時厳しい指摘が相次いでいます。具体的には、地域ニーズに十分対応できていないこと、財務諸表等の開示の不十分さやガバナンスの欠如、内部留保の蓄積等が指摘され、その存在意義が問い直されています。このように社会福祉法人制度について様々な課題が挙げられる中、国は制度の改革へと踏み出しました。改正社会福祉法のもと、社会福祉法人は、役員の権限・責務・責任の明確化によるガバナンスの強化が図られ、公益性を担保する財務規律が求められます。また、社会福祉法人の本旨に基づき、地域公益活動が責務として位置付けられ、他の事業主体では対応できない福祉ニーズを充足することが求められます。本書は、弁護士と公認会計士・税理士により、改正社会福祉法の内容と、それが社会福祉法人やその役員らに与える法務面・財務面の影響をいち早く、かつ、わかりやすく解説しています。「第1章 社会福祉法改正の影響」では、社会福祉法改正の背景、強化
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