社会福祉法人の法務・財務はこう変わる
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第2章 法務はこう変わる34法人制度改革によって、ガバナンスの強化が図られています。しかしながら、社会福祉法が定める社会福祉法人の経営組織は、制度発足以来、大きく見直されることがありませんでした。そのため、社会福祉法人は、他の公益法人よりも高い義務を負う特別の法人であるはずなのに、その組織体制は、他の法人制度と比較して貧弱な側面があったのです。⑵ 改正の2つの視点そこで、改正法は、社会福祉法人の経営組織のガバナンスの強化を図るため、多くの規定を設けました。以下、1理事・理事長に対する牽制機能の強化、2財務会計に係るチェック体制の整備という2つの視点に分けて、本項に関わる改正法の内容を概観してみましょう。1 理事・理事長に対する牽制機能の強化第1章でお話したような“不適正な運営”には、社会福祉法人の内部統制による牽制が働かず、理事・理事長の自らの勝手な判断を許した結果生じたものもあります。そこで、改正法は、理事・理事長に対する牽制機能の強化を図るため、各機関の役割や責任などの仕組みを整えました。ア 評議員・評議員会(本章第2節●1⑴参照)現在の社会福祉法人制度では、法令上、評議員会の設置は任意とされています。確かに、社会福祉法人審査基準は、一部の法人を除く社会福祉法人に対して、評議員会の設置を求めています。ここでの評議員会は、原則として、諮問機関として位置付けられ、法人の業務の決定に当たり重要な事項についてあらかじめ意見を聴く必要があるものとされています。しかし、裏を返せば、すべての社会福祉法人が評議員会を設置しているわけではありません。現に、社会福祉審査基準は、一部の法人(措置事業、

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