社会福祉法人の法務・財務はこう変わる
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第1節 改正社会福祉法の内容331経営組織のガバナンスの強化まず、改正法の大きな目玉の一つである経営組織のガバナンスの強化から見ていきましょう。今回の改正法により、社会福祉法人の組織体制について詳細な規定が置かれました。その規定内容は、多岐にわたります。そこで、本章では、まず経営組織のガバナンス強化について簡単に説明し、評議員や役員等の役割・責任などについては、のちに詳しく解説することとします(本章第2節参照)。⑴ なぜ経営組織のガバナンスの強化が必要か経営組織のガバナンスの強化の主たる目的は、「社会福祉法人について、一般財団法人・公益財団法人と同等以上の公益性を担保できる経営組織とする」ためです。第1章でも述べたとおり、社会福祉法人は高い公的性格を持つ法人です。にもかかわらず、ごく一部の社会福祉法人の中には、「法人の金は私のものだ」「私の金で車を買うのが何で悪い」などと発言するような理事長さえ存在することも事実です。このように、一部の社会福祉法人では、理事長の勝手な判断によって経営が行われていたり、ときに私物化とも取られかねない法人運営も行われていたりしています。こうした事態は、本来であれば、社会福祉法人の内部管理や会計監査などによって防止・解決されるべき問題です。他方、一般社団・財団法人や公益社団・財団法人の場合は、近年の公益改正社会福祉法の内容第 節1
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