図解でわかる新民法〔債権法〕
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255そうです。第3に、今回の改正では、規律の内容が明確にならないだけでなく、新たな疑問も浮かび上がっています。特に実質的な改正がされた部分については、実際の運用がどのように変化していくかの動向にも注意していく必要があります。また、契約自由の原則が明文化されることに伴って、強行法規か否かが必ずしも明らかではない規律との関係は微妙ではないかとの指摘もあり、今後の解釈がどうなるのかも注目されます。当事者の取組みの重要性第4に、任意法規である多くの民法の定めに対しては、当事者による契約が優先します。したがって、これまで通り、契約実務が重要であることに変わりはありません。民法の規律に依存して、契約書を簡単に済ませることができるわけでもありません。取引分野においても、難しい解釈問題を含めて、様々な論争や見解の対立が起きることがありえます。基本的に、民法は極めて柔軟な姿勢をとっているだけに、個別の対応のあり方によって、その結果が変わってくるといったことがこれからも繰り返されることでしょう。そのような問題を踏まえますと、企業法務部門における契約対応能力の向上が求められる趨勢は、強まりこそすれ、弱まることはないでしょう。昨今のグローバル競争の激化に伴って、企業法務における契約管理の重要性はますます高まるものと考えられます。債権法が問題となる領域においては、これからも実質的な法解釈が控えていることに留意しながら、企業法務における契約管理態勢を充実させていくことが強く求められていくことを忘れてはならないでしょう。
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