図解でわかる新民法〔債権法〕
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105第6章 法律行為われることは、これまで通りです。さらに、現行法の考え方をさらに詳しく明らかにするため、「錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合」には、原則として、錯誤による意思表示の取消しをすることができません。しかし、例外的に、①相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき、又は②相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたときには、取り消せることになります。つまり、表意者の錯誤に「重大な過失」があっても、これらの場合は、その意思表示は取り消すことができます。このように取り扱ったほうが、明確なルールの下で、より公平な解決が導けると考えられるからです。加えて、いずれの場合も、錯誤の規定による意思表示の取消しは、「善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない」(95条4項)との定めも設けて、善意無過失の第三者を保護するルールが明確化されます。意思表示に錯誤あり取り消せない(原則)(例外)取り消せる相手方(錯誤に重大な過失)第三者(善意無過失)第三者(悪意又は過失あり)表意者①表意者の錯誤を知っている、 又は重大な過失で知らなかった②表意者と同一の錯誤に陥っていた取消の主張可取消の主張不可

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