税理士春香の民法講座
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-12-第1章国税通則法と民法の接点裁判例の紹介春 香  山川さん、修正申告書の提出に際して、後に更正の請求をする予定ですって書いた場合に、心裡留保の修正申告にあたると判断された裁判例がありましたよね。どんな内容でしたっけ?山 川  ああ、広島地裁平成24年4月25日判決*8だね。広島地裁平成₂₄年₄月₂₅日判決(事実概要)1.個人事業者が人材派遣を行う同族会社に支払った平成5年分から平成7年分までの支払手数料が、その個人事業の顧客から得る収入金額の6割に当たり、税務調査で高額であるとして、その一部につき、必要経費性を否認され、更正された。2.その事業者は、その必要経費性を争うつもりで、平成8年分の確定申告においても、その同族会社に対する手数料を、その後も継続して6割の基準で必要経費に算入し、訴訟の準備をした。3.その事業者の税務代理を行う税理士は、敗訴した場合、その支払手数料の一部が、必要経費として事業所得の計算上控除できなくなる一方、手数料を受け取る同族会社からの役員報酬にかかる給与所得と二重に課税される結果となることや、加算税・延滞税の負担を憂慮して、更正処分の際の税務署が用いた、人件費倍率に基づいて支払手数料の金額を減額した修正申告を奨め、その事業者に追加の税額を平成9年₄月1₄日納めさせた。₄.平成9年3月31日に提出した、その修正申告書の「異動の理由」の欄に「更修正意思のない修正申告の取扱い第₂話*8 広島地裁平成24年4月25日判決(TAINS Z262-11935)

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