税理士春香の民法講座
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-3-第話改訂版の発刊にあたって 初版を発行してから、早いもので4年が経ちます。法務大臣から法制審議会に対して、民法(債権法関係)改正についての諮問がなされたのが、平成21(2009)年10月28日、法制審議会民法(債権関係)部会の中間試案が決定されたのが平成25(2013)年2月26日でした。初版では、中間試案についても若干触れましたが、実際に改正に至るのはまだまだ先ではないか、と高を括っていたこともあり、改正の動向にもさほど目配りをしておりませんでした。 平成29(2017)年5月26日、「民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)」が成立し、同年6月2日公布、平成29(2017)年12月20日、一部の規定を除き、平成32(2020)年4月1日から施行されることが決まりました。このたびの民法改正は、明治29(1896)年制定から約120年ぶりとのことです。法務省の説明によりますと、「今回の改正は、民法のうち債権関係の規定について、取引社会を支える最も基本的な法的基礎である契約に関する規定を中心に、社会・経済の変化への対応を図るための見直しを行うとともに、民法を国民一般に分かりやすいものとする観点から実務で通用している基本的なルールを適切に明文化することとしたもの」だということです。毎年改正される税法とは異なるだけに、新しい民法を、税理士が知らぬ顔でやり過ごすわけにもいかないだろうと思いました。 税務に関する具体的な事例の中にある民法のルールを考える、という当初のスタンスを変更することなく、本書では、初版でとりあげた「税法のなかの民法」について、改正された点、改正されなかった点を明らかにするとともに、表現方法も若干手直しいたしました。とはいうものの、初版で取り上げた事例のいくつか、とりわけ物権に関する事例を削除いたしました。もとより、民法のすべての改正点について、税理士向けに、網羅的に解説するものではありませんので、本

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