民法[相続法制]改正点と実務への影響
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第1節 新設された配偶者短期居住権とは7たとは認められず、相続開始前から被相続人と配偶者との間に使用貸借契約等の契約関係が存在する場合が多いものと考えられます。そのため、その部分については、相続開始後も従前の契約関係が継続すると考えられます。また、居住建物の一部において店舗を営んでいる場合については、あくまでもその店舗における販売等によって利益を上げているにすぎず、建物自体から利益を上げているものとはいえないと考えられます。(4) 存続期間① 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合 居住建物につき遺言にて帰属が定められておらず、配偶者を含めて遺産分割が行われる場合です。その場合、遺産分割の内容自体は合意に至っており、本来は早期に遺産分割協議が成立し得るにもかかわらず、配偶者が急な転居に対応できないこと等を理由として遺産分割を先延ばしにするような事態を生じさせるのは相当ではありません。 そこで、配偶者短期居住権の存続期間については、 ア)遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日、または イ)相続開始の時から6か月を経過する日のいずれか遅い日までの間とし、仮に遺産分割協議が早期に成立するような場合でも、相続開始から6か月間、配偶者短期居住権を認めることで調整が図られています。② 上記①以外の場合 上記①以外の場合、例えば、居住建物を配偶者以外の相続人に相続させるとの遺言がなされていたり、第三者に遺贈するとの遺言がなされているような場合には、それによって居住建物の所有者となった者は、いつでも配偶者短期居住権の消滅の申入れをすることができます。配偶者短期居住権は、かかる消滅の申入れがなされた日から6か月が経過することで消

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